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August 8th, 2019コメント(0)



1.道南地方ならではのお葬式の風習


独特の風習が多い北海道の冠婚葬祭。
会費制の結婚式や香典をその場で開封され、領収書とお返しが手渡されるお葬式。中でも、海の幸や五稜郭などの観光地で有名な函館市。
新幹線の最終駅、新函館がある北斗市。
松前城の桜で有名な松前町を含む「道南」のお葬式は独特です。

2.お通夜に合わせてお参りすると火葬が終わっている

道南のお葬式がどのように独特かというと、驚かれる方もいるかと思います。
なぜなら、親交のあった故人の方を一目見送ろうとお通夜に合わせてお葬式に訪れると、ご遺体はすでに火葬されてお骨になった状態で祭壇が設けられるからです。
亡くなられた故人の方が、親交のあった知人の方であっても驚かれることでしょう。
もし、本州や北海道の他の地域から函館市など道南へと移住し、道南の方と家庭を持った故人の親戚の方にとっては、トラブルにも繋がりかねない問題でもあります。
これは、北海道の他の地域にはない道南地方独特の風習です。

3.仮通夜と本通夜、出棺と告別式

道南地方では、故人が亡くなり家に帰ると当日中に僧侶を呼び「枕お勤め」のお経を上げてもらいます。
北海道内の多くの地域では、その翌日か近い日の金曜日に合わせて「お通夜」を決めますが、道南では少し事情が違います。
道南地方では、故人が亡くなった当日に近場で暮らす親戚や近所の方に連絡を取り「仮通夜」と呼ばれるお通夜を上げます。
もちろん、「仮通夜」の名前の通り「お通夜」に当たる「本通夜」の仮の儀式です。
仮通夜は、「その日に集まることができる方」だけで執り行われることがほとんどで、遠方から知人の方や親戚を招く目的ではありません。そして、ここからの順番を把握しておくことがとても大切です。
道南地方では、仮通夜が行われると次の儀式は「出棺」となります。つまり、仮通夜→出棺→火葬→本通夜→告別式という流れです。出棺は多くは、仮通夜の翌日が1日空けて行われます。ですので、故人の方は長くても2泊3日、短いと1泊1日しかご遺体という姿で棺の中におりられません。
故人の顔を見てお見送りをしたい方で道南に親戚のいる方は、本通夜ではなく出棺に合わせてお参りに向かう必要があります。

4.道南地方のお葬式が独特な理由

道南地方のお葬式が、仮通夜→出棺→火葬→本通夜→告別式という流れで行われ、本州や北海道の他の地域で「お通夜」に当たる「本通夜」の前に火葬が行われるにはいくつか理由があります。
現地で語られることが多い理由は3つ、⑴東北地方の風習⑵漁業が盛んな港町のため⑶洞爺丸台風の影響です。

⑴東北地方の風習
北海道の中でも、道南地方には江戸時代から明治にかけて東北地方出身の方が多く移住されました。
青森県や岩手県、秋田県や福島県の方が多かったといわれています。
理由は、江戸時代から明治時代にかけての戊辰戦争。
戊辰戦争の末期には、新撰組で有名な土方歳三ら旧幕府軍が函館市を中心に政権を打ち立てて新政府軍と対立しました。東北地方のいくつかの藩は、新政府軍に敗北する中で北へ北へと敗走し、海を渡った函館へたどり着きます。
仮通夜→出棺→火葬→本通夜→告別式の風習は、青森県にあった南部藩の名残りともいわれています。

⑵漁業が盛んな港町のため
もう1つは、漁業が盛んな港町として栄えた函館市ならではの事情です。長期間遠くの地域に漁に出かける漁業関係の家庭では、故人の遺体を保存しておく技術がなかった当時、喪主に当たる一家の主人が帰ってくるまで仮通夜→出棺→火葬までを行い、改めて親戚を集めて本通夜→告別式で故人を見送るという風習が生まれたといわれています。

⑶洞爺丸台風の影響
最後の1つは、比較的新しい理由です。戦後間も無く、伊勢湾台風が日本列島を縦断したため各地で災害による被害者が出ました。伊勢湾台風は、函館市近海で沈没した旅客船洞爺丸にちなんで洞爺丸台風と呼ばれています。当時、水害が収まり被害者の方が次々に見つかると、斎場や火葬場はとてもすぐに利用できる状況ではありません。
そこで、葬儀会場の支度が整うまで遺体の損壊が進まないように火葬して、自宅で形上のお通夜を済ませてしまう「仮通夜」の風習が生まれたといわれています。

道南地方のお葬式が独特な理由は、⑴東北地方の風習⑵漁業が盛んな港町のため⑶洞爺丸台風の影響のいずれかですが、世代や地域によって語られる理由は変わります。
1つだけアドバイスできるとしたら、親戚や親しい方の場合、故人の方の情報をご家族に伺い、「仮通夜」に間に合うようにお葬式に向かうスケジュールを立てることです。
また、元々冠婚葬祭には特別こだわりの少ない北海道ならではですが、最近では遠方から訪れる方が故人と最後のお別れをされたいと考える家族の方は、仮通夜から出棺までの日取りを伸ばして故人とのお別れをされるお葬式もあります。

その点は、物事を合理的に考える北海道ならではの新しい風習ともいえるでしょう。

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